「DJが上手い」とは何か

DJの上手さを構成する要素について、著者の意見を述べます。

「DJが上手い」と聞くと、曲をきれいにつなげられることや、スクラッチなどのテクニックを思い浮かべる人も多いかもしれません。

しかし、DJの上手さや凄さは、ひとつの能力だけで決まるものではありません。

大きく分けると、次のような要素があります。

選曲

DJにとって最も基本となるのが、「何をかけるか」です。

単に良い曲を知っているだけではなく、

  • その場の客層に合った曲を選ぶ
  • フロアの反応を見て次の曲を変える
  • 時間帯や前後のDJに合わせる
  • 曲をどの順番で並べるか考える
  • 盛り上げるところと落ち着かせるところを作る
  • 定番曲と意外な曲を使い分ける
  • 予定していた選曲を、その場の状況に合わせて変える

といった判断も、すべて選曲に含まれます。

同じ100曲を持っているDJでも、「何を、いつ、どの順番でかけるか」によって、まったく違うDJプレイになります。

つなぎ・ミックス

A曲からB曲へ移るための技術です。

  • ビートを合わせる
  • 曲のフレーズを合わせる
  • EQを使って音がぶつからないようにする
  • 適切なタイミングで曲を入れる・抜く
  • ロングミックスやカットインなどを使い分ける

などがあります。

この教科書では、まずこの「曲と曲がつながる仕組み」を理解することを目指します。

音量・音質の調整

DJは、曲を選んでつなぐだけではありません。

曲ごとの音量差を調整したり、低音・中音・高音のバランスを整えたりして、フロアで気持ちよく聴ける状態を保つことも重要です。

音量を上げすぎて音を歪ませないことも、DJの基本的な仕事のひとつです。

テクニック

DJには、通常のミックス以外にもさまざまなテクニックがあります。

などです。

必ずしもすべてのDJに必要なものではありませんが、使い方によっては、そのDJならではの個性になります。

パフォーマンス

DJは人前に立つ仕事でもあります。

  • 身体の動き
  • 表情
  • MC
  • 観客とのコミュニケーション
  • 衣装や見た目
  • ステージ上での存在感

なども、観客が感じる「DJの凄さ」に影響します。

特に大きなステージでは、音だけでなく、観客からどう見えるかもパフォーマンスの一部になります。

個性・スタイル

上手いだけでなく、「このDJを見たい」と思われるためには、その人ならではの個性も重要です。

選曲、ミックス、テクニック、パフォーマンスなどが組み合わさり、

「このDJならこういう曲をかける」

「このDJにしかない展開がある」

というスタイルが生まれます。

Opinion(著者の意見)

「DJの上手さ」は選曲が8割

DJは「Music Selector」と表現されることがあります。

その言葉の通り、私は「DJの上手さ」の8割は選曲で決まると考えています。

どれだけスクラッチが上手くても、難しいトーンプレイやフェーダープレイができても、その場に合わない曲をかけていれば、良いDJプレイにはなりません。

これは、自分自身が長くフロア側にいたからこそ強く感じます。

お客さんは、DJが使っている細かなテクニックを一つひとつ分析しながら踊っているわけではありません。

多くの場合、

「この曲が好き」

「この流れが気持ちいい」

「次は何が来るんだろう」

という感覚でDJプレイを楽しんでいます。

もちろん、テクニックに価値がないという意味ではありません。

James Hypeのフェーダープレイのように、技術そのものがそのDJのシグネチャーになれば、それを楽しみに観客が見に来ることもあります。

ただ、それは単に「難しい技術ができるから凄い」のではなく、その技術まで含めて、そのDJにしか作れない体験になっているからです。

だから私は、DJを始めたばかりの人ほど、まずテクニックよりも選曲を磨くべきだと考えています。

何をかけるか。

どの順番でかけるか。

いつかけるか。

DJの本質は、そこにあると思っています。

まとめ

  • DJの上手さは、選曲・ミックス・音の管理・テクニック・パフォーマンス・個性で決まる
  • 高度なテクニックができることだけが、DJの上手さではない
  • 著者は、その中でも選曲が8割を占めると考えている