キー・ボーカル・エネルギーを重ねる
ハーモニックミキシング、ボーカルの衝突、エネルギーの重なりを具体例で扱います。
ここまでで、
ところまで学びました。
これで、2曲を技術的に重ねることはできます。
ただし、
きれいに重ねられることと、音楽として気持ちよく聞こえることは別です。
BPMも拍もフレーズも合っているのに、
「なんか変だな」
と聞こえることがあります。
そのときに確認したいのが、
です。
キーとは
曲には、それぞれ音の高さの組み合わせがあります。
その曲がどの音を中心に作られているのかを表すものを、キー(Key / 調)と呼びます。
たとえば、2曲のメロディーを同時に鳴らしたとき、
音の組み合わせによっては自然に聞こえることもあれば、
音同士がぶつかって、不安定に聞こえる
こともあります。
DJでは、2曲を長く重ねるときにキーも判断材料の一つになります。
キーが合うと、重ねやすいことがある
キーの近い2曲は、使われている音に共通する部分が多いため、メロディー同士を重ねても自然に聞こえやすいことがあります。
この考え方を使って曲をつなぐことを、
ハーモニックミキシング(Harmonic Mixing)
と呼びます。
DJソフトでは、曲を解析するとキーが表示されます。
ソフトによって、
Am、C、F#m
のような表記や、
8A、8B
のようなCamelot表記で表示されることがあります。
今は表記を暗記する必要はありません。
まず、
曲にはキーがあり、2曲のメロディーの相性を見る材料になる
と分かれば十分です。
キーが合っていても、自然につながるとは限らない
ここは重要です。
キーが合っているからといって、
その2曲が必ず合うわけではありません。
たとえば2曲とも同じキーでも、
片方でボーカルが歌っていて、
もう片方でも別のボーカルが歌っていたら、
2人が同時に違うことを歌う状態になります。
音程に大きな問題がなくても、
聞く場所が分からなくなったり、音がごちゃごちゃしたり
することがあります。
キーは、
「この2曲はつなげられる」という合格判定
ではありません。
あくまで判断材料の一つです。
ボーカル同士を重ねる
2曲のボーカルを同時に鳴らすと、それぞれの歌や言葉がぶつかることがあります。
特に、
A曲の歌がまだ続いているところへ、B曲の歌も始まる
ような重ね方では、両方が主役になろうとします。
その結果、
- 歌詞が聞き取りにくい
- メロディーがぶつかる
- どちらを聞けばいいのか分かりにくい
状態になることがあります。
そのため、最初のうちは、
ボーカルが強く鳴っている部分同士を長く重ねない
方が分かりやすいです。
たとえば、
A曲のボーカルが終わるところに、
B曲のボーカルが始まるようにする。
あるいは、
A曲のボーカルに、
B曲のドラム中心の部分を重ねる。
といった方法があります。
ただし、ボーカル同士を重ねること自体が間違いというわけではありません。
意図的に2つのボーカルを組み合わせることもあります。
まずは、
2つの主役を同時に出すと、ぶつかりやすい
と覚えてください。
エネルギーとは
DJでは、
その曲がどれくらい強く、盛り上がって感じるか
を「エネルギー」と表現することがあります。
これはBPMのように一つの数字で決まるものではありません。
たとえば、
と、エネルギーが上がったように感じることがあります。
逆に、
- キックが抜ける
- 音が減る
- 静かなメロディーだけになる
と、落ち着いたように感じることがあります。
つまりエネルギーとは、
曲を聞いたときに感じる「強さ」や「盛り上がり」のようなもの
です。
2曲のエネルギーを見る
2曲をつなぐときは、
A曲がこれからどうなるか
と、
B曲がこれからどうなるか
を見ます。
たとえば、
A曲が盛り上がっている
↓
A曲が少し落ち着く
という場所で、
B曲が静かに始まる
↓
B曲が盛り上がる
ように重ねると、
AからBへ自然に主役を渡しやすくなります。
一方で、
A曲が一気に盛り上がろうとしているところに、
B曲が一気に静かになる部分を重ねれば、
狙っていない限り、不自然に感じることもあります。
前に学んだ、
「Aが引く瞬間と、Bが前に出る瞬間を合わせる」
という考え方も、エネルギーを見る方法の一つです。
BPM・拍・フレーズが合っていても確認する
ここまでを整理すると、
2曲が、
同じBPM
で、
拍も合っている
そして、
フレーズも合っている
からといって、それだけでミックスが完成するわけではありません。
その上で、
キーはぶつかっていないか
ボーカル同士が邪魔していないか
2曲の盛り上がり方は噛み合っているか
を耳で確認します。
つまり、
画面上で正しく見えることと、耳で気持ちよく聞こえることは別です。
最後は実際に聞いて判断します。
Opinion(著者の意見)
キーだけで曲を選ばない
僕は、キーは便利な判断材料ですが、キーだけで曲を選ぶべきではないと思っています。
DJソフトにはキーが表示されるので、
「このキーの次は、このキー」
と機械的に選ぶこともできます。
ただ、それでは、
- 今その曲をかけたいのか
- 前後の流れに合っているのか
- ボーカルがぶつからないか
- 盛り上がり方が合っているか
といった、もっと大きな判断が抜けてしまいます。
一方で、
「キーをできるだけ合わせた方が、ミックスの失敗を減らせる」
という考え方もあります。
特にメロディーの強い曲を長く重ねる場合には、キーはかなり役立ちます。
僕は、
まず曲と流れを選び、その中でキーも確認する
くらいが使いやすいと考えています。
まとめ
- BPM・拍・フレーズが合っていても、音楽として自然に聞こえるとは限らない
- キーは、2曲のメロディーを重ねやすいかを見る判断材料の一つ
- ボーカル同士は、両方が主役になってぶつかることがある
- エネルギーは、曲の強さや盛り上がり方を考えるための見方
- 最後は数字や画面だけでなく、実際の音を聞いて判断する