BPMとテンポ

曲の速さを表すBPMと、それを動かすテンポを体験します。

前のページまでで、(Beat)、小節(Bar)、フレーズ(Phrase)、曲の構成を見てきました。

次は、曲の速さについてです。

DJでは、2曲を重ねて流すために、それぞれの曲がどれくらいの速さなのかを知る必要があります。

その速さを表す数字がBPMです。

BPMとは

BPMは Beats Per Minute の略で、

1分間に何拍あるか

を表す数字です。

たとえば、

120 BPM = 1分間に120拍

です。

128 BPMなら、1分間に128拍あります。

数字が大きくなるほど拍と拍の間隔が短くなり、曲は速くなります。

逆に、数字が小さくなるほど曲はゆっくりになります。

速さの違いを聴いてみる

同じリズムでも、BPMが変わると速さが変わります。

たとえば、

120 BPM
128 BPM
136 BPM

を聴き比べると、数字が大きくなるほど「1・2・3・4」の間隔が短くなるのが分かります。

速さを選んで、拍の間隔の違いを聴き比べてください

2小節ぶん停止中

赤い線が小節の頭白い線が2・3・4拍目です。「1 2 3 4 / 2 2 3 4 / 3 2 3 4 / 4 2 3 4」と声に出して数えます。

DJソフトやCDJでは、曲を読み込むとBPMが表示されます。

その数字を見ることで、2曲の速さがどれくらい違うのかを確認できます。

なぜDJはBPMを合わせるのか

A曲が128 BPMで、B曲が130 BPMだったとします。

この2曲をそのまま同時に再生すると、最初は拍が合っているように聞こえても、少しずつズレていきます。

A曲は1分間に128拍。
B曲は1分間に130拍。

B曲の方が少し速いからです。

最初は2曲の「ドン」が同じタイミングで鳴っていても、時間がたつほど位置が離れていきます。

2曲を重ねて流すためには、まず曲の速さを揃える必要があります。

TEMPOで曲の速さを変える

DJ機材には、曲の再生速度を変えるためのTEMPOがあります。

A曲が128 BPMで、B曲が130 BPMなら、

B曲のTEMPOを少し遅くして、

130 BPM → 128 BPM

にします。

これで2曲の拍が進む速さが同じになります。

逆に、次の曲の方が遅ければ、TEMPOを上げて現在の曲へ近づけます。

テンポを変えると、音程も変わる

曲の再生速度をそのまま変えると、速さだけでなく音程(Pitch)も変わります。

速くすると音程は高くなり、遅くすると音程は低くなります。

レコードを速く回すと声が高くなり、遅く回すと低くなるのと同じです。

DJ機材やDJソフトには、テンポを変えても音程をできるだけ維持する機能があります。

機材やソフトによって、MASTER TEMPOKEY LOCKなどと呼ばれます。

これを使うと、

速さは変える。
音程はできるだけ変えない。

という操作ができます。

ただし、テンポを大きく変えるほど、音の質感が変わったり、不自然に聞こえたりすることがあります。

まずは、

TEMPOを変えると、本来は速さと音程の両方が変わる。
音程を保つための機能もある。

と覚えておけば十分です。

*音が出ます。音量に注意してください。

同じ場所を3つの速さで鳴らします。声や音の高さの違いを聴いてください。

実際に128 BPMへ合わせてみる

ここでは、

A曲:128 BPM
B曲:130 BPM

から始めます。

B曲のTEMPOを動かして、128 BPMまで下げてみてください。

*音が出ます。音量に注意してください。

128.0 BPM
テンポ
90%
0%
130.0 BPM
テンポ
  • 再生ボタン(緑の丸の三角):押した曲が鳴り始めます。鳴っている間は一時停止の形に変わり、もう一度押すとその場で止まります。
  • CUE止まっているときに押すと、いまの位置を覚えます。覚えた場所は波形の上に緑の旗で出ます。鳴っているときに押すと、覚えた場所へ戻って止まります。実際のDJソフト(rekordbox)と同じ考え方です。
  • 波形:中央の線がいまの再生位置で、曲のほうが右から左へ流れます。押した場所へ移り、横へ引くと細かく動かせます。1拍ぴったりへ吸い付かないので、ずれを自分で詰められます。移っただけではCUEは変わりません。
  • いまどこにいるか中央の橙の線がいまの位置です。小節番号は波形の下に流れるので、線の下の数字がいまの小節になります。数字を出す欄は別に持ちません。
  • 拍のずれ:2曲の赤い線がそろっているかを見てください。赤い線が半拍以上ずれると波形の下に「ビートがズレてる!」と出ます。ずれている間だけ出ます。何拍ずれているかは出しません——赤い線を見れば分かるからです。
  • 線の色が小節の頭、がその間の拍、オレンジがいまの再生位置、ライムが保存したCUEです。2曲の赤い線が上下でそろうと、小節の頭が合っています。
  • CUE:置いた場所にライムの縦線と「CUE」が出ます。音源の位置に付いて流れるので、8小節の画面から外れると見えなくなります。端に寄せて出しません——そこにあるように見えてしまうからです。
  • 表示範囲8小節ぶんで固定です。AとBは同じ時間の幅で描いているので、テンポが違えば拍線の間隔も違って見えます。ずれはそのまま画面に出ます。
  • テンポ:0.5 BPM刻みで曲の速さが変わります。下へ引くと速く、上へ押すと遅くなります——CDJのテンポスライダーと同じ向きです。中央が曲そのものの速さ(128 BPM)です。再生する速さそのものを変えるので、速くすると音程も上がります。キーロックの無いCDJやレコードと同じ挙動です。BPMを揃えるだけでは、拍のタイミングまで自動では揃いません。
  • ヘッドホンでの先聴き:実際の機材では、客席へ出していない曲をヘッドホンだけで先に確かめられます。この画面にはありません。出ている音を聞いて合わせてください。
  • EQ(HIGH / MID / LOW):その帯域の量が変わります。0まで絞るとその帯域は聞こえなくなります——実機のEQと同じで「切る」と言ったら消えます。2曲の低音が重なると濁るので、片方のLOWを下げて比べてみてください。
  • フェーダー:その曲の音量です。0 にすると聞こえなくなります。
  • この2曲でできる練習:Aのドラム中心(1〜8小節)にBのイントロ(1〜8小節)を重ねると、Bの9小節目ボーカルが始まります。そこはAを下げ切るところで、Aが終わるところではありません——下げなければAは残りの24小節を鳴らし続け、Bのボーカルと重なったままになります。波形の帯に出るBを再生がAの頭で、Bの9小節目に出るAを切るが切りどころです。Bの頭から32拍=8小節ぶんです。これは練習しやすい一例で、唯一の正解ではありません。どこで重ねても構いませんし、目印どおりに操作しなくても止められません。
  • 曲の長さ:ここで鳴っているのは、練習のために切り出した編集版です。Aは32小節、Bは16小節です。実際の曲がすべてこの構成というわけではありません。終わりまで来ると止まります。

使用音源

  • AKulakovkaPop HousePixabayPixabay Content License切り替えの8小節のあとも45秒続く32小節が届きました。届いた地図によれば、元は118 BPM で、128 BPM へ変換したとのことです。
  • BAlex_MorganHouse Music ClassicPixabayPixabay Content Licenseキックのイントロ8小節のあと、9小節目からボーカルが入る16小節が届きました。テンポは変えていません。

数字だけでなく、2曲を同時に聴いてみましょう。

B曲が130 BPMのままだと、時間とともに2曲の拍がずれていきます。

128 BPMまで合わせると、ずれが広がらなくなります。

これが、BPMを合わせる意味です。

BPMが同じでも、まだ合っているとは限らない

ここは重要です。

A曲もB曲も128 BPMになれば、進む速さは同じになります。

でも、

A:1・2・3・4
B:  1・2・3・4

のように、スタートした位置がずれていれば、2曲の「ドン」は重なりません。

つまり、

BPMを合わせる = 速さを合わせる

ことであって、

拍そのものの位置まで自動で合うわけではありません。

2曲をきれいに重ねるには、

  1. 速さを合わせる
  2. 拍の位置を合わせる

の両方が必要です。

拍の位置を耳で合わせる方法は、この後の「手動ビートマッチ」で詳しく扱います。

BPMは、つなぐための条件のひとつ

BPMが同じだからといって、どんな2曲でも自然につながるわけではありません。

前に見たように、

  • フレーズ
  • 曲の構成
  • 実際に鳴っている音

なども関係します。

BPMは、2曲をつなぐために確認する要素のひとつです。

まずは、

BPM = 曲の速さ

と覚えておけば十分です。

まとめ

  • BPMは1分間の拍数で、曲の速さを表す
  • TEMPOを動かすと再生速度が変わり、通常は音程も変わる
  • BPMを揃えても、拍の位置まで自動で揃うわけではない

出典

  1. rekordbox 公式 — Manuals
  2. Open Music Theory — Meter(教育資料)