曲の構成を知る

イントロからアウトロまで、曲の中で音が増減する場所を見ます。

前のページでは、いくつかの小節がまとまってフレーズ(Phrase)になることを説明しました。

曲の中では、そのフレーズがいくつか続きながら、

音が増える。
音が減る。
歌が始まる。
一気に盛り上がる。

といった変化が起きます。

こうした役割の違う区間が組み合わさって、1曲ができています。

曲はいくつかの区間に分かれている

ダンスミュージックでは、曲の区間を表す言葉として、次のようなものがよく使われます。

曲によって、すべてが入っているわけではありません。

順番や長さも決まっていません。

ジャンルによって呼び方が違うこともあります。

まずは、それぞれがどんな役割なのかを大まかに理解すれば十分です。

イントロ(Intro)

曲の入り口になる部分です。

ダンスミュージックのDJ向け音源では、キックやドラムなど比較的シンプルな音から始まることがあります。

音が少ないため、前の曲と重ねやすく、DJが次の曲を入れる場所としてよく使われます。

「はじめて2曲をつなぐ」でB曲を入れたときも、B曲の最初の部分を使いました。

ヴァース(Verse)

主にボーカル曲で、歌が進んでいく部分です。

日本語では「Aメロ」「Bメロ」などと呼ばれる部分に近い場合があります。

すべてのダンスミュージックにあるわけではありません。

特にテクノなど、歌を中心に作られていない曲では、ヴァースという区分を使わないこともあります。

ブレイク / ブレイクダウン(Break / Breakdown)

それまで鳴っていたキックや低音などが減り、一度曲が落ち着く部分です。

盛り上がっていた曲から急に音が減ることで、その後の展開とのメリハリが生まれます。

ボーカルやメロディーだけが残ることもあります。

「はじめて2曲をつなぐ」で使ったA曲には、はっきりしたブレイクはありません。最後の8小節で上物が減りますが、キックと低音は鳴り続けます。

ビルドアップ(Build-up)

次の盛り上がりへ向かって、緊張感を高めていく部分です。

音が少しずつ増えたり、リズムが細かくなったりして、

「そろそろ何か来そう」

と感じるような展開を作ります。

ビルドアップのあとにドロップへ入る構成は、EDMなどでよく見られます。

ドロップ(Drop)

ビルドアップなどのあとに、キックやベースなどが大きく戻り、曲が強く盛り上がる部分です。

フェスなどで観客が一斉に跳ねるような場面をイメージすると分かりやすいかもしれません。

ただし、ドロップの形はジャンルによってかなり違います。

必ずしも派手な音になるとは限りません。

サビ

日本語では、曲の中で特に印象的で繰り返される中心部分をサビと呼びます。

ボーカル曲では、英語のChorusに近い意味で使われることがあります。

ダンスミュージックでは、サビとドロップが同じような位置に来る曲もありますが、サビ = ドロップと決まっているわけではありません。

この教科書では、実際に鳴っている曲の役割に合わせて区間名を付けます。

アウトロ(Outro)

曲の終わりへ向かう部分です。

イントロとは逆に、音が少しずつ減っていく構成になることがあります。

DJ向けの音源では、次の曲を重ねやすいように、最後にドラム中心のアウトロが用意されていることもあります。

実際の曲で見てみる

この教科書のシミュレーターで使っている2曲を見てみましょう。

A曲は、

上物が薄い部分 → 盛り上がる部分 → 上物が減る部分

へ進みます。

B曲は、

最初の部分 → 盛り上がる部分 → 次の盛り上がりへ向かう部分

へ進みます。

デッキAPop Houseドラム中心8小節ドロップ16小節ドロップのあと8小節デッキBHouse Music Classicイントロ8小節ボーカル8小節
教材で使う2曲の構成です。棒の高さは1小節ごとの中音域のエネルギーを実際の音源から測った値で、主役の音が入ると高くなります。A曲は32小節、B曲は16小節で、長さも、どこで厚くなるかも曲ごとに違います。

曲を上から見ると、

ずっと同じ音楽が流れているのではなく、役割の違う区間が順番に並んでいる

ことが分かります。

DJは曲の構成を見ながらつなぐ

DJが2曲をつなぐときは、が合っているだけではなく、

A曲のどの区間と、B曲のどの区間を重ねるか

も重要になります。

たとえば、

A曲が盛り上がっているところに、
B曲のシンプルな最初の部分を重ねる。

そして、

A曲が盛り上がるタイミングで、
B曲も前に出てくる。

こうすると、2曲の展開が自然につながりやすくなります。

「はじめて2曲をつなぐ」でやったのも、まさにこれです。

あのときは、

Aが引く瞬間と、Bが前に出る瞬間

を合わせていました。

波形だけで決めない

DJソフトでは、曲の波形を見ることで、

音が多い場所
音が少ない場所
大きく変化する場所

をある程度確認できます。

ただし、波形だけですべてが分かるわけではありません。

同じように見える場所でも、実際に鳴っている音や役割は違うことがあります。

波形を見て、実際に耳でも聴く。

両方を使って曲の構成を把握します。

まとめ

  • 曲はいくつかの役割の違う区間からできている
  • イントロ、ブレイクダウン、ビルドアップ、ドロップ、アウトロなどの呼び方がある
  • DJでは、2曲のどの区間を重ねるかを考えてミックスする

出典

  1. Open Music Theory — Form(教育資料)